遺産分割10箇条
1. まずリーダーにまとめるか、皆で分けるかを決める
家業、資産管理ができる能力のあるリーダーがいれば、リーダーが包括して相続を受けても良い。もちろん、相続人の生活を考えてあげ、代償金や贈与、法人化により役員報酬を支払うことなど、公平にできる配慮ができることが前提である。リーダーがいなければ均分相続が無難である。
分けることによって、資産価値が下がるものは無理して分けない方が良い。
分けるのであれば、思い切って現金化して、現金で公平に分ける。
2. 安易な共有物を作らない
原則共有にはしないこと。ただし、夫婦間と親子間であれば、つぎの相続で共有が解消されることもあるので構いません。兄弟姉妹での共有は必ず揉めるので避けましょう。同居して財布が一緒(生活が一)である場合は共有もありです。
3. 相続人それぞれの生活設計を考えてみる
10年後、20年後、30年後のそれぞれの生活を画くことから始めてください。相続人のそれぞれの夢、目標、生活レベルを考え、誰がどの資産をどれだけ相続するのかを考えます。多ければ多いほど良いということではなく、安心して安定して生活できるレベルで十分だと考える人が多いのです。
4. 納税が10ヶ月以内にできるように分ける
各人の相続税はそれぞれが現金で払うことになるので、相続税を支払うための現金が用意できるかを考え分割する。現金が不足する場合は資産を売却して現金化して納税します。土地の開発や生産緑地などの解除には時間がかかるので、時間管理が大切です。売却する資産は相続税納税額を想定して、共有にしてから売却し、各人に現金が行き渡るようにしなくてはなりません。
5. 二次相続対策も同時に考えて分ける
配偶者控除はなるべく目一杯使った方がデフレの時代では有利です。配偶者の資産は二次相続対策が打ちやすいものにすると良いでしょう。例えば更地を相続し、評価の低い収益不動産に組み換えるなどの対策です。借金はなるべく配偶者に相続すると二次相続には有利です。
6. 過去の共有物分割を同時に行なう
共有物は不良資産です。相続を機械に過去の共有物を分割してしまうのも手です。共有名義になっていて、共有者の1人だけが使っている場合は使用貸借です。使用貸借という形になっている間は、相続が完結していることにはなりません。
7. 債務の分割から考える
借金は遺産分割協議で勝手に分割を決めることができません。一旦、相続人全員の連帯債務になります。その後、金融機関に免責的に債務を承継する手続きを行います。金融機関が納得できる債務の承継を考える必要があります。収益力のある不動産とセットで債務を承継すると良いでしょう。
8. 法定相続分、遺留分は過度に意識しない
必ずしも民法の定めにしたがい法定相続分で分ける必要はないので、それぞれの生活を考え、話し合いで分けることが基本です。分け方のルールはありません。遺留分を過度に気にしすぎる必要もありません。前もって、必要な時に贈与を受けたので、相続を放棄するという考えは極めて全うです。最近の相続は老老相続です。老いてから相続を受けるのであれば、若いうちに贈与なり、一時相続で多めに分けてもらい、二次相続を放棄するなど柔軟な発想が必要です。法律に振り回される必要はありません。大切なのは相続人それぞれの生活です。
9. 被相続人の思いを想定した分割にする
遺言書がある場合は遺言書を尊重します。遺言書があるからといって遺言書のとおりに相続をする必要はありません。相続人で話し合ってベストな遺産分割協議書を作って、納得のうえ相続する方が幸せです。遺言書は保険と思って作っておくのがベターです。被相続人の存命だった頃のことを思い出し、「被相続人ならどのように考えただろうか」という問いを発してみるのが良いと思います。
10. 感謝の気持ち持ちなさい
感謝の気持ちがあれば、譲ることもできます。譲り合えれば相続財産は余ります。その後の良好な関係が一番の財産です。
気をつけたいこと
1. まやかしの『相続対策』に注意しましょう
・ 銀行 借金が相続対策?
・ 税理士 共有登記を勧める
・ 弁護士 依頼者の一方的な遺言 後で揉める
・ 建築会社 節税対策?財産減らしている?
・ 保険会社 権利の相続? 納税に支障を来たす 本当に節税?
2. まやかしの『節税対策』に注意しましょう
・ ほとんどの節税は後から増税になります。
・ ほとんどの節税は資産価値や収益力を落とします。
3. 専門家の部分最適な話に注意しましょう
遺産分割は上記のような多方面から検討が必要で、100人のアドバイザーがいれば100通りの提案となります。
全体最適、長期的視点から遺産分割をしなければ後悔することになるでしょう。
相続前に最適な資産設計がしてあれば、大半の問題は解消できる。