尽きない資産家の悩み
私は多くの資産家の話しを聞く機会があります。
全財産を開示していただいています。
実態ベースでの話なので迫力があります。
最近、特に多いのが賃料収入の減少についての悩みです。
テナントが退去する度に、家賃を下げなくてはならない、
現状回復費用や修繕にお金がかかる、
テナントが決まってもフリーレント期間があり、しばらくお金にならない。
仲介会社には広告費などの名目で手数料がかかるというものです。
収入は減っていくのに、なぜか所得税は増えて行く。
銀行や建築・不動産会社等から勧められ、
相続対策として行った賃貸経営です。
言われていた程儲からないというレベルであればまだ良いです。
相続税の節税効果以上の赤字を垂れ流している、資産家も多いようです。
一方、上記のようなリスクを負いたくない資産家の悩みは?
多くはとりあえず駐車場にでもしておきます。
地価は下がってきているのに、固定資産税は上がっています。
収入は税金を納めるだけでほとんど消えてしまいます。
共通の悩みとして相続税があります。
最初に国が相続財産を一方的に相続してしまいます。
残りを相続人が分けるというものです。
ある程度の資産家の場合、半分を国が持っていき、
残りの半分を皆で分けるということになります。
問題は税金だけではありません。
誰が後継者になるのだろうか?
誰が、どのように、どれだけ承継していくのだろうか?
など、遺産分割の問題は複雑です。
借金も大きな悩みの一つです。
金利が低いと言われていますが、
デフレで資産価値や家賃の下落スピードを加味すると、
実質金利は思いのほか高いのではないでしょうか。
借金は財産だなんていう時代は、バブル以前までの話です。
今では借金の負担感が増すばかりです。
これらの問題は、重大かつ複雑です。
どこからどのように手を付けていけばよいのか迷ってしまいます。
問題は分かっているのに、問題を先送りにするということになりがちです。
資産家の皆さんがこんな苦労をされていることは、
一般の方には理解しがたい事でしょう。
「先祖伝来の資産を守りたい」、「自分で築いた財産を守りたい」
強く願っていらっしゃると思います。
頭が痛いといって問題を先送りにしておくだけでは解決しません。
そこで、私は悩むのではなく、客観的な数値で全体像をつかみ、
課題を明確にすることをお勧めしています。
財産診断で全体像を画き、課題を明確にする。
資産家の方も、立派な経営者です。
所有している資産を活かすには、経営的視点が必要になります。
経営といってもそれほど難しく考える必要はありません。
貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)とキャッシュフロー表(C/F)
の三つを押さえるだけで課題が見えてきます。
資産毎に純資産額と収支とキャッシュフローを算出します。
ROA(総資産利益率)分析や相続税評価と時価の乖離率の分析をします。
これで、優良資産と不良資産の色分けが浮き彫りになります。
不良資産に着目し、対策を打ち、優良資産に変えていくのです。
誰しもご自分の資産の事は良くわかっています。
しかし、それは感覚的なものであって客観的なものではありません。
一度、客観的・俯瞰的にご自身の財産を見つめ直すことをお勧めします。
イメージとは違った、実態に新鮮な驚きを覚えることでしょう。
中にはすでに、財産目録を作成し、相続税の試算をされている方もいらっしゃることでしょう。
ところがそれだけでは個別の課題が見えてきません。
「財産診断」を通じて、資産のドッグを行っておくことは、
大切な資産を守り活かすための入口でもあります。
「財産診断」による成果は事例が物語っています
多種多様な資産家の方々の「財産診断」をさせていただく中で、
色んな事が見えてきました。
守秘義務は絶対なので、個別な話はできません。
しかしながら事例でご紹介が可能です。
全ての依頼者の方に許可を頂き、匿名で記載しています。
これら事例は、公益財団法人不動産流通近代化センターの月刊誌「不動産フォーラム21」に掲載され、連続43回のロングランになりました。
また、「不動産コンサルティングマスター」や「相続対策士専門士」の教材としても取り上げられています。
これら43回の事例をこのホームページ内で紹介させていただくことにしました。
あなたの状況に近い事例が見つかると思います。
一つだけ事例の抜粋をご紹介します
尾上賢一さん 59歳。都市近郊の農家。(父親、妻、弟2人)
・アパート3棟 ・市街化区域内農地5,000坪 ・現金5,000万円
コンサルの流れ
・顧問契約を結び、月2回の定例ミーティングを行う。
・名寄せ帳や決算書から、相続税の試算を行い、資産全体を数値で把握。
・土地ごとに収益力を分析。
・駅前の賃貸マンションを購入して、相続税評価を下げる。
・父親逝去後、遺産分割協議書の作成。
・相続税納税のため入札方式で土地の売却
・相続後に収益対策として土地の売却資金で賃貸マンション購入。
・都心の複数の区分マンションに分散投資
結果
・相続税が約3.5億円が約2.5億円に節税できた。
・税前手取りが年間400万円から、4,800万円に増加した。
・ROA(総資産利益率)が0.7%から4.8%にアップした。
・逝去後、2ヶ月のスピードで揉めずに遺産分割協議書を締結した。
・相続後、農地を一棟マンションと区分マンションに組み換え収益増となった。
・資産管理会社に資産を移転して、二次相続対策実施中
いかがでしたでしょうか。
これら実例は実際のドキュメンタリーです。
他にもたくさんあります。
残念ながら、貴方にそっくりそのまま当てはまるというものはないと思います。ですが、各事例から何らかの教訓が得られると思います。
ぜひ一度ご覧になってください。
あなたに近い事例を探す
いかがですか、事例は参考になりましたでしょうか?
ところがここで一つ気を付けていただく事があります。
事例はあくまで他人のもので、資産内容や家族関係など人それぞれです。
Aさんに効果のある対策もBさんにとっては逆にマイナスになることもあります。
他人の事例は参考になりますが、それをそのままコピーすることは出来ません。
皆さんが、それぞれご自分の状況に置き換え、強み弱みを押さえながら、実行可能な方策を選択しなくてはなりません。
対策案は未来を描き、全体最適な方法を選択する
そのためには、数多くの情報を集め、勉強し、考え抜かなければなりません。
市場、経営、税務、法務、金融、人間関係などを総合的に判断しなくてはならないからです。
幅広い見識が必要な事がお分かりになったかと思います。
それぞれの専門家とのかかわりが必要です。
これら8つの分野の専門知識と人脈を構築していってください。
今のままではジリ貧だとお感じの資産家の方も多いかと思います。
未来は今の貴方の決断と実行で決まるのです。
現状を知り、過去を振り返り、そして未来を見つめ、今、何をするべきかを決めるのです。
難しい言葉で言えば、「財産戦略」の策定です。
これを一人で行うのは至難の技です。
そんな時に知識や経験、知恵を提供してくれる人がいれば心強いのではないでしょうか?
私も完全ではありませんが、貴殿のお役に立てるのではないかと思います。