連載「実践 事例で考える 不動産コンサルティングの進め方(38)」 ~無借金賃貸経営で、勝者の資産経営者に~
福田 郁雄 株式会社福田財産コンサル 代表取締役
第38回 Aさん
~無借金賃貸経営で、勝者の資産経営者に~
経営の原点は儲けることであり、手元資金を潤沢にして、実質無借金経営にすることです。無借金経営が経営の王道です。資産家の多くは資産と借金は多いのに現金を持っていないという現実があります。これは投資効率、経営効率が悪い事と借金の返済に追われているからです。賃貸経営における無借金経営のあり方と20年間に亘り実践してきたAさんの成功事例をご紹介します。
1.成功の本質・失敗の本質
私は長年に亘り、多くの資産家の財産分析を行い、資産運用の助言をしてきました。その中で成功者の共通点と失敗者の特徴が見えてきました。
相談者の中には税金を払うのにも困り、事の重大さに気付き慌ててご相談にくる方もいます。その原因を探っていくと、過去に様々なプレイヤーによって提唱された「相続対策」という名の下の土地有効活用や資産運用の失敗が原因となっていることに気付きました。
平成初期に相続対策が流行りました。大きな借金をして土地活用しました。
銀行の支店長自らが先頭に立って、『借金コンクリート』の建築を勧めました。
収益性はほとんど見ていません。担保力さえあればほとんど無審査で貸しました。実質収支は、最初から赤字です。
しかしながら、所得税の節税効果で最初の10年くらいは何とかなりました。
節税効果は単なる税金の後送りなので、その後、増税で苦しむことになります。
デフレの影響で賃料も下がるし、修繕費もボチボチかかるようになります。なのに、デフレでますます借金の重みが増していきます。
初期の対策として、他の土地を売って借金を軽くします。次第に売る土地が無くなってきます。次は自宅を売ることになります。この頃には、税金の滞納が始まっています。
苦しくなったら他の資産を売ってローンを返してくれるので銀行は何も困りません。建築会社は大きな受注が出来たので万々歳です。結局、リスクを負ったのは資産家のみで、リターンどころか資産を失って「悲惨家」になってしまいました。
失敗の本質は、収益性を無視した「借金」による投資です。借金はお金が無いからするものではありません。
借金は
・投資効果が高いものが見つかった時
かつ、
・絶対にうまく行くと確信できる時
に
レバレッジ(てこの原理)を使って投資効率を高めるためにするのです。
借金にも「良い借金」と「悪い借金」があることを理解して下さい。
お金が無いからする借金は失敗の元です。
FXの例でレバレッジの意味(怖さ)を説明します。
例えば100万円の保証金を米国の証券会社を通して100倍のレバレッジをかけて投資したとします。ドル円の相場が仮に100円とし、円安に振れると予測し投資して翌日101円で売りました。この時の利益はおおよそ100万円です。一夜にして倍になりました。これはレバレッジがうまく機能したからです。
これが逆に99円になったとしましょう。この時の利益はおおよそ-100万円です。今度は投資した保証金を全て失うことになるのです。
FXはギャンブルみたいなもので、絶対にうまく行くと確信できることはマレです。レバレッジが上手く働けば益がでますが、逆レバレッジがかかった場合には大きな喪失を被るのです。この点を良く考えずに借金をする方がいるように思います。
では、賃貸経営で成功している人の特徴は何でしょうか。
一言で言えば、借金が少ない人です。大成功はしないものの、確実にやってきた人です。
もちろん大成功するには、リスクに果敢にチャレンジすることが必要です。
投資効率の良い投資先が見つかった時には、レバレッジを効かせて利益をだし純資産を増やしていきます。一般の資産家は大成功しなくとも、成功すれば十分ではないでしょうか?資産を守り活かすことが目的なのですから。リスクに果敢にチャレンジし、思うようにならずストレスで体を壊してしまっては本末転倒だからです。
私が出会った成功者の特徴をまとめると以下のとおりです。
・ 立地が良いところに所有している。 ・ 資産管理会社もしくは資産所有会社を持っている。 ・ 土地の面積より、建物の面積と坪賃料を重視している。 ・ 良く勉強している。自分で一生懸命考えている。(言いなりになっていない) ・ 売上より利益を重視している。(容積率を目いっぱい使わない) ・ きちっと修繕費を積み立てている。 ・ 質素で浪費しない。 |
2.何故手元にお金が残らない?
多くの資産家の共通点はキャッシュが少ないということです。これだけ、多くの家賃が入っているのに「何故? 」と疑問を持ちます。家賃が5000万円、1億円、2億円入っていて、しかも生活は質素にしているのにです。
大きな原因は三つあります。
一つはローンの返済が多いことです。
もう一つは手元に残るキャッシュのわりに、税金や社会保険料が多いということです。そして、もう一つは思ったより修繕費がかかるということです。
このトリプルパンチによって、キャッシュが少ないのです。(図1)
賃貸経営を始めた場合、最初10年ぐらいは良いのですが、その後、減価償却費や金利が減少し、増税になっていくのです。
所得税・法人税の他、消費税、事業税、住民税、固定資産税の重みがずしっとくるのです。
今後の法人税の減税に期待したいところです。これからは資産を法人で所有することが有利な時代となります。
ただし、ここで注意していただきたいことは、節税に頭を使うより、もっと収益を上げることを考え、手元にお金を残すことを考えた方が利口ということです。
『節税を追っかけると、なぜかお金が逃げていく』
という格言を覚えておいてください。
(図2)をご覧ください。税金と税引き後の手取りの関係を表しています。
最初は減価償却があるため税金が抑えられていますが、15年後から設備の減価償却が終わり、税金額がアップします。時期を同じくして、建物の修繕費がかかり始めます。(図3 主な修繕工事項目と時期)
家賃が月うん百万円入ってくると聞いて賃貸経営を始めても、実際には税金、修繕費、管理費、金利の支払いが大きくて、手元に残るお金は売上からイメージするほど大きくありません。
3.例 鉄筋コンクリートマンションVS木造アパート10年後の勝者は?
ローンの返済が無くなってしまえば、手元に残るキャッシュが飛躍的に増えます。管理費、税金、修繕費は出ていきますが、確実にキャッシュが残ります。無借金経営に恐いものなしです。家賃を下げて入居者を確保することもできるし、利益を修繕費に回すこともできます。失敗がありません。
Aさんは住宅金融公庫を使い、35年のローンを組んで、ファミリー向け賃貸住宅を建てました。エレベータの付いた立派な鉄筋コンクリートのマンションです。見栄えも豪華です。10年経っても、ほとんどローンは減っていません。しかも部屋が広く建築費が高いにもかかわらず、家賃は高く取れません。空室が増え、家賃が下がり、修繕費が上がり、税金が上がり4重苦です。税金さえ払えなくなりそうです。
一方、Bさんは隣に木造2階のアパートを建てました。見栄えはいたってシンプルです。利回りは表面で15%。10年後には10年固定のローンを一括で返済してしまいました。銀行員からさらに借りてくれと拝まれています。
どちらが成功者か一目瞭然ですよね。(図4)
都心のCさんは30坪の土地に地下1階地上11階建てのペンシルビルを建てました。鉄骨鉄筋コンクリート造でドシっとしています。エレベータ室と非難階段を除いたら有効面積は僅かです。当初は坪3万円取れていたのですが、現在では半値です。すでに税金の滞納が始まりました。
一方、Bさんは隣に鉄骨造の三階建ての店舗を建てました。容積率は目いっぱい残しています。建築費も安い上に、ムダなエレベータもありません。
三階までは吹き抜けを取り一体的に使えるので、一階路面店の坪5万円で貸せています。5年で投下資本を回収することができました。無借金経営の実現です。(図5)
4.修繕費は想定以上にかかる
もう一つの原因は、修繕費が想定以上にかかっていることです。新築の間は良いのですが、10年くらい経ってくると修繕費がかかり始めます。バブル時代に建った築15~25年くらいのビルやマンションが多いのですが、これらの建物の修繕費に頭を痛めています。
大規模マンションでは、管理組合がしっかりし、長期修繕計画をたて、きちっとした修繕積立金を徴収しています。ところが、個人のビルやマンションは、ほとんどが成り行きです。受け取った家賃は修繕積立金として預っておかなければなりません。自分のお金では無く、預かり金という意識が必要です。これは、税金と同じようなお金です。この修繕積立金が無い人が多いのです。修繕費はもう一つの隠れ借金なのです。(もう一つは相続税)
家賃が入っても、管理費が管理会社へ、ローンの金利が銀行へ、税金が税務署や市町村へ、修繕費が建築会社へ行ってしまい、その残りが手元のキャッシュとなるのです。家賃の売上と手元に残るキャッシュの重みは全く違います。
修繕費は構造と建物の品質による影響が大です。デザインも大切ですが、管理のし易さや、修繕費のかからない仕様にすることが大切です。私は建築出身なので、ことのほか、この点に注意をして提案しています。収益以上に修繕費や税金がかかってくるようになったら、売却するというのも一つの回答です。
ファンドマネージャーは古い物件を処分し、新しい物件に組み換えています。
修繕費がリターンを大きく左右することを知っているからです。不動産ファンドは新築で取得し、5年後に売却することが多い理由の一つが修繕費です。
5.負債比率が高いことのリスクを理解する
借金の取り扱いについては、借入金比率を重視します。総資産の50%以下の負債であれば健全経営です。少なくとも70%以下にしてください。
その理由を説明します。(図6)
仮に10億円の総資産とします。
9億円の債務があります。純資産は1億円です。
借入金比率は90%となります。
もし、10億円の資産がビルで家賃が20%下がったらどうなるでしょうか?ビルの価値は収益還元法で計算されるので、資産は8億円になります。1億円の債務超過です。たったの20%家賃の下落でです。一回テナントが入れ替わると十分に起きることです。
これが、資産が1億円、借金はゼロ、純資産1億円なら20%の変動があっても20%の損で納まります。
借金の意味合い(恐さ)を理解していただけましたでしょうか?
6.無借金経営のススメ
私は20年前から、無借金経営のススメを提唱しています。
(このことはタクトコンサルティングの本郷尚先生の受け売りです。)
まとまった資産をお持ちの資産家は資産を増やすことよりも、確実に守っていくことを重視します。(デフレ時代には守ろうと思って、守りきれるものではありません。ある程度の攻めも必要です)
黙っていても土地価格が下がる、賃料が下がる時代においては、安定したキャッシュを生む、優良な収益不動産を持っていることが大切です。
過去、具体的に提案してきたことは
・ 定期借地権の保証金でアパートを建てる。 ・ 建築協力金で店舗を建てる。 ・ 一部土地を売り、その資金でアパートを建てる。 ・ トランクルームなど低予算、高利回りの建物を建てる。 ・ バス便の土地を売り、駅前・都心のビルを買う。 ・ 自己資金を十分に入れて、不動産投資する。 |
とりわけ、「不良資産の優良資産への組み換え」は大変有効でした。
借金が重過ぎる人には、
・ 下がっていく土地を売って、借金を返済することを助言します。
「アセット・ライト」のススメです。負債と資産を減らし、総資産を小さく
するのです。負債比率が小さくなり、リスク軽減ができます。大手企業もデ
フレ時代においては、余分な資産を売却して、リストラをします。経済合理性にかなった行動です。
現金をたくさん持っている人には、
・ 円を一部外貨に変えておく。もしくは海外不動産を持つことを助言してます。
こちらは逆にハイパーインフレへの備えです。
7.純資産拡大のサイクルを作る
成功の法則は極めてシンプルです。所得を上げ、現金を増やし、ローンを減らすだけのことです。所有する資産が優良であれば自動的にこのサイクルに乗っかっていきます。不良資産を処分して、優良資産に組み換えていけば所得が増えていきます。この所得が資産になり、さらに資産が増えていく。この循環を作っていくのです。
もちろん超優良資産に投資するチャンスに巡り合えたならば、レバレッジをかけリターンを増大させていくという判断もあります。その場合は余裕資産がある場合に限ります。余裕資産がない人が大きなレバレッジをかけてはいけません。
私の投資判断で最も重視するのは総資産利益率(ROA)です。所有する資産がどれだけネットで稼ぐかの割合です。このROAを高めるための方策は、
さらなる投資をして資産を膨らませると同時にリターンを大きくするということです。優良資産に投資することができれば実現できます。ところが実際には分母の資産も分子のリターンのどちらも大きくなるので、ROAを高めるのは至難の技です。
確実にROAを高める方法があります。それは負債を返して資産を小さくするということです。リターンも減ることがありますが、分母の資産が小さくなればROAは確実に高まります。
このようにROAはリターンと総資産、負債のバランスで決まるので、ROAを意識していれば借金のし過ぎを防止することができます。このROAを指標にしておけば、間違いを防ぐことができます。
ちなみに、ROEという指標があり、これは自己資本に対するリターンの比率を言いますが、これはレバレッジをかければ見かけ上数値が上がっていきます。ですから資産家はROEでは無くROAで投資判断をしなければなりまぜん。
以上述べた成功の法則はごくごく当たり前のことです。ですが、頭の切り替えが出来ない方には少し難しいかも知れません。中には空理・空論と思われる方もいるかと思います。そこで、実際に無借金賃貸経営で成功されているAさんの事例を紹介していきたいと思います。私とは20年以上のお付き合いです。常に健全経営を心掛け、いつも良いタイミングで投資をしていらっしゃいます。その秘訣も伺いました。
-依頼者の状況-
首都圏の郊外に区画整理地と市街化区域内農地を所有する地主のAさんの事例です。Aさんの無借金賃貸経営にいたる過程です。(図表7)
1. 木造アパート10室(2DK)
昭和62年に市街化区域内農地500㎡を宅地化して建築しました。500㎡に分筆した理由は開発行為に該当させないためです。5,500万円の建築費でしたが、融資は6,000万円受けています。この当時は無借金経営ではありません。むしろ、バブルが始まり金融機関はジャブジャブに資金供給していました。始めてのアパート経営だったので小ぶりの二階建てアパートにしています。
2. 鉄骨三階建てアパート10室(2DK)
平成2年に木造アパートの隣地に、土地を500㎡以内で分筆して建築しました。敷地の形状から3階建てになりました。8,200万円の建築費に対し自己資金は200万円で、この時もほぼ全額ローンです。同じような間取りで同じような家賃ですが、木造2階建てと比較すると投資金額が大きく利回りは悪くなっています。
3. 月極駐車場の整備
平成6年に畑を辞め駐車場に切り替えました。工事金額は420万円です。こちらは自己資金で整備しました。平成4年の生産緑地にするか宅地化を選択化するか迫られた時に宅地化を選択して、固定資産税の負担が大きくなってきたからです。
4. 木造アパート6室(2DK)
平成6年(平成5年契約)に自宅裏の敷地に4,950万円で建築しました。融資は住宅金融公庫の30年固定金利を活用し、融資額は5,000万円でこれも全額ローンです。
建築の動機は固定資産税の負担増もありましたが、広大な自宅の土地管理が大変であったこともあります。草取りや庭木の剪定など目の前の負担を解決するということです。一方、宅地化の選択により相続税評価額も激増し、その評価の圧縮のためにもアパートを建築しました。
5. 木造アパート4棟16室(3DK)
平成6年(平成5年契約)に自宅裏の木造アパートの建築を検討中に、区画整理中の土地が使用収益できるようになりました。200㎡の土地が55区画換地されてきました。そのうち7区画分を利用してファミリー向け賃貸アパート4棟を建てました。駅から歩けない場所なので、車が2台置けるような企画とし、緑地をたっぷり取り環境を良くして入居を確保しました。建築費は1億5,700万円で融資は住宅金融公庫のファミリー賃貸住宅を活用し1億8,000万円の融資を受けています。ここまでは、一般的都市農家の資産家と違いはありません。この立地特性からして、採算性の悪い賃貸マンションを建てていなかったことは幸いでした。
6. 定期借地権45区画
平成5年に定期借地権を設定し、保証金を3.2億円預かることができました。返済は50年後で無利息です。運用益には認定課税がされないとの判断だったので、運用を検討しました。さらなる賃貸経営も考えられますが、まずは翌年に建築した1.2のアパートの借金を一括返済しました。平成7年には4のアパートの公庫の一括返済を行い、平成8年には5のアパート団地の公庫の一括返済を行いました。この時点で完全に無借金経営の状態になりました。収支の改善が進み、キャッシュと資産が増えていく循環となっていきました。
7. 市街化区域内農地2,500㎡売却
平成7年に市街化区域内農地2,500㎡売却を売却しました。この敷地での再有効使を検討ともしたところ、アパートや駐車場での活用よりも、戸建分譲用地としての価値が最も高いと判断しました。建売会社が14区画の分譲にしました。この売却資金を有効に活用することが最有効使用ということです。
8. 鉄骨二階建て店舗事務所
平成7年に鉄骨二階建て店舗事務所を建築しました。建築費2,600万円の小さな建物です。もちろん現金での建築です。計画道路が通り、土地の価値が上がったのですが、面積が小さく三角の敷地になってしまったこともあり、土地有効活用することにしました。
9. 鉄筋コンクリート11階建て賃貸マンション(1ルーム)
平成15年に東京都中央区に新築の鉄筋コンクリートマンション一棟を購入しました。3.2億円の購入費に対し、自己資金を8,500万円出しています。もっと自己資金を出すことが出来たのですが、相続税の納税資金等に備え、手元資金を厚くしておくために、2億3,500万円の借入をしておきました。その後、平成17年に父の相続が発生しました。相続税評価は約1億円でした。2.2億円の評価減となったので、約1億円の相続税が減額できました。現金のままで持っていれば評価はそのままの3.2億円ですが、評価の低い都心の土地と建物に資産を入れ替えていたので相続税を減らす結果となりました。その後Aさんは所得が増えてきたので、資産管理会社を設立していますが、このマンションの一室を事務所にしています。ここでは一旦借金をしましたが、貸借対照表の資産の部には現金があるので、実質無借金経営です。
10. 中古ファミリー区分マンション8戸
平成21年に中古ファミリー区分マンション8戸購入しました。場所はほとんどが山手線沿線に近い分譲マンションです。投資金額は2.2億円、自己資金6千万円です。実はこの区分マンションのバルク買い(まとめ買い)をするか、9の賃貸マンションのローンを一括返済するか迷ったのですが、今の資産状態であれば、キャッシュフローも潤沢で健全経営をしているので、さらなる投資に踏み切りました。今までの賃貸収入とこの中古ファミリーマンションの収入を貯めることによって、9のマンションのローンを一括返済するという目標を建てました。その結果、平成23年には9の賃貸マンションの借金を一括返済して無借金にしました。また、平成24年には中古ファミリー区分マンション8戸の借金も一括返済することができました。
11. 海外不動産投資
平成24年には海外不動産も購入しています。アメリカラスベガスの戸建貸家への投資です。資産家仲間でLLC(合同会社)を設立して、20万ドルを出資した形となっています。郊外から都心への投資、そして日本から海外への投資と、その時代に最も最適な投資をしています。アメリカの住宅バブルがはじけて、1/3~1/4の価格になっていたところでの投資です。今底値から反転してきているうえ、円安方向に向っているので滑り出しは順調です。
今現在、完全無借金状態です。7の市街化区域内金農地の売却以外は全て賃料収入が入っています。しかも無借金です。総資産と純資産がイコールです。借入金比率が0%。自己資金比率が100%ということです。
借金の返済をしてしまったので、現金はほとんど無くなりましたが、これからドンドン貯まっていきます。今後財政破綻などの危機が来ても、無借金の収益不動産を所有しているので、なんの心配もありません。年間7,580万円の賃料収入が黙っていても入ってきます。金利の上昇の不安もありません。インフレになればやがて賃料も上がっていくでしょう。精神的にも大変楽です。
強いて言えば、定期借地権の保証金は無利息ですが、30年後に2.8億円返さなくてはなりません。(保証金が減っているのは一部定期借地権の底地を借地人等に
売却しているからです)月額約100万円の地代をそのまま貯めていけば返せるだけの資金となります。
地代の運用を長期でうまくすれば、2.8億円を貯めるのはもっと早くなります。例えば、海外の積立貯蓄で、複利で運用していくならば、毎月50万円の積立だけで仮に8%の運用利回りとすれば、19年で2.8億円になります。30年を待たずとも保証金額が返済できるようになります。
今後は不動産で得られる現金の運用がポイントになります。
Aさんは土地持ちから金持ちになりました。順番を間違えずに土地を資金化してから賃貸経営を行ったこと、そして、都心での賃貸経営に切り替えたことが勝因です。
近所には同じような資産家がいますが、ほとんどが地元で大きな賃貸マンションと借金を抱え、苦しんでいます。切り売りする土地も無くなり、自宅を含めた全資産を失う資産家もたくさんいます。Aさんとは雲泥の差です。ちなみにAさんは定期借地権や資産の組み換えを地元の資産家に説明するも、誰も見向きもしなく、相手にされなかったそうです。
それにしても、Aさんの行動のタイミングはいつも抜群です。定期借地権では先行者利益がありました。市街化区域内農地も地価が下がりきる前に売却できました。都心の賃貸マンションは相続発生前に取得しました。中古アァミリー区分マンションのバルク投資はリーマン後ということもあり、高利回りで買えています。いまではこの価格では到底無理です。ラスベガス不動産もサブプライム後、下がり続けた価格の底値で買うことができました。Aさんの素早い決断がいつも良い結果に結びついています。
依頼者の感想
以下に依頼者Aさんの感想を付け加えておきます。依頼者の視点が見えてきます。
ローンを抱えての賃貸経営
最初のアパートは、相続対策という事で建築しました。やってみると思ったよりも税金、ローンの負担、経費がかかるなと分かりました。当時はローンの返済にいっぱいいっぱいで、自分の給与をローンの返済に充てることもありました。借り入れのある賃貸経営は手元にお金が残らないなという実感を持ちました。
その後、福田さんにコンサルをしていただき、活用出来ていなかった“資産”を“資金”に換えてもらい、資産設計をしていただきました。定期借地権の保証金でアパートの借金を一括返済した時はすっきりしました!色々資料を見ていくうちに、金利、修繕積立金、税金の重みが理解できるようになりました。
無借金経営について
無借金経営をただ目指していたわけではありません。目的に合わせて借り入れをすることもありました。ただ、負債を背負っている気持ちが嫌なので、なるべく早く返済しようと心がけていました。私は先祖から受け継いだ資産を上手く活用出来たので、恵まれていると思います。
無借金経営は、安心感が違いますね。地震などが起きて、仮に建物が壊れてローンだけが残るということもありません。入ってきた家賃収入が税金分以外は全部自分のものです。インフレで金利が上がっても、心配ありません。新たな心配事を作りたくないので、このまま無借金経営を続けていきます。
今後は調整区域の農地などを売却して、3~4年かけて自分が保有していても活用しきれない資産を減らしていこうと思います。また、定期借地権の保証金も準備しなければなりません。これも50年利息を払わなくて良いローンと言えますから。定期借地も底地が欲しい方には譲っていこうと考えています。
インフレリスク
インフレになった場合、借金を持っていた方が得だという話もありますが、私はそうは思いません。なぜなら先に金利が上がると思うからです。インフレになって、物価が上がって、家賃が上がって、借金の重みが軽くなると言われますよね。でも実際は、景気が良くなってきたら、一番最初に金利が上がり、企業収益が上がり、給料が上がり、そして、家賃が上がります。その間に時間のズレがあります。先に金利が上がってしまっては資金繰りが苦しくなります。そういう心配はしたくありませんね。
無借金でもインフレになれば家賃は上がるので、収益不動産を持つことは、現金で持つよりも良いと思います。
タイミング
いつも良いタイミングで投資をしていると福田さんに言われますが、直観にしたがっているだけです。ただ人のやっていないこと、目新しいことにはチャレンジしようと思っています。
本当は石橋をたたいて渡るタイプなんですがね。福田さんに提案してもらったものは、良いと分かるので実行しています。